9苗代谷(なわしろだに)
毎日、雨が降らない、何日も何日も雨雲一つ現れず、飲み水にさえ不自由するありさまでした。
苗代を作る頃だというのに苗代に引く水がない。
苗代を作らないことには苗が育たない。この分だと田植えもできない。長老たちは、いろいろ考えました。
そして、あの谷のあたりはわずかだが水が湧き出ている。今まで田ではなかったが、あの谷へ苗代を作ろうと決めました。集落の人たちすべてが集まって種籾(たねもみ)をまきました。
苦心の苗はどうにか間に合いました。
それから、この谷を「苗代谷」と呼ぶようになったそうです。
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苗代谷のイラスト |
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苗代谷 |